この写真の文字、なんて読むかわかります??
暖簾(のれん)に書かれている文字なんですが、これも古文書のひとつです。
答えは「生そば」です。
実は私たちがふだん生活しているまちなかにも、こんな風に古文書で使われている字を見つけることが出来ます。
- なんでのれんには古文書の文字が書かれているの?
- 他にどんな文字があるの?
- どうやって昔のことばを学べば良いの?
むかしの日本のことばへの疑問がある方への学習の入口がわかる記事になっています。
わたし自身、博物館で展示されている古文書を見て
「なんて書いてあるのか知りたい!」
と思い、古文書を学ぼうと思いました。
でも、古文書について紹介している本は辞書みたいなものが多くてつまんないな、と思った経験があったからです。
そんな時に、一冊の本に出会いました。
結論、この本を読んで古文書を学ぶハードルの高さを理解しました。でも、学習を通して日本文化をより深く知ることができるメチャメチャ面白そうな趣味になると断言できます。
この本を読み終えると、きっと好きな戦国武将の書状や好きな浮世絵に書いてある文字を読みたくなって仕方なくなりますよ!
本書は歴史研究家でも学者でもないとある会社員が、講師になるまでのロードマップを記録したものです。
歴史好きの人が、古文書を読みたいなーと思った時にまずはじめに読んでおいて損はないです。
とにかく、底無し沼にハマってしまうようなそんな感覚を覚えてしまいました。
でも、江戸時代には普通に子供が寺子屋で読み書きを習ってたくらいですから、普通に昔の人間からするとフツウのことが今になってできていないだけなのかもしれませんけどね。
とにかくハードルが高い
はじめに、古文書とは人生で長い付き合いになることを学習の早い段階で覚悟しなくてはなりません。
それだけハードルが高い領域と言えます。
1. 変体仮名と平仮名があります。
「あいうえお」等のひら仮名は漢字が崩して作られた話は誰でも知っていますよね。
しかし、もとになっている漢字が今のひら仮名と違うルールで書かれているのが古文書の世界です。
例えば「かきくけこ」。
下の表を見てください。
今の平仮名は「加幾久計己」が崩れて「かきくけこ」と書かれるようになったようです。
ですが、古文書では「可起具遣古」を「かきくけこ」と読ませることがあるそうです。
このルールを知っていないと字を認識できても読み方が分からなくなってしまいます。
すでに古文書のハードルの高さにお気づきかと思います。。
2.異体字と常用漢字があります。
われわれは普段、学校で教わった漢字を使って文字を読み書きします。
しかし、古文書に登場する文字では昔(戦前)の漢字がたくさん出てきます。
これを異体字(いたいじ)というらしいです。(反対の意味は常用漢字)
これが読めないと、先生が読み方を教えてくれるまで教科書の音読みができない生徒のごとく、何が書いてあるかさっぱりわかりません。
例えば、「罐」「發」「鐵」「繹」などの字が異体字です。
大人になってまた漢字を習うわけですね。。
個人的には異体字の雰囲気の方が好きなので学ぶのに辛くなさそうですけど、これも個人差あるかもですね。
かなりのハードルの高さがわかってきたんじゃないかと思います。
3. 歴史的仮名遣いで読む必要があります。
また、古文書は文語で書かれています。早い話、歴史的仮名遣い。
「まめまめしい」だの、「てふてふ」だの、「さうらう」だの、といった世界です。
これは慣れればそんなに難しくないので、解読したい古文書を読めるようになる!と言うモチベーションで乗り越えるしかなさそうですね!
過去の文章とふだんの文との表現が違うので、ずいぶんとハードルが高いです。
趣味オブ趣味の領域
それでも読みたい!と思える人は知的好奇心が強いか、過去から何かを学びたい意欲の高い方だと思います。
これって、お金になる類のものではなさそうですよね(笑)
スラスラ読めたら尊敬を集めそうですが、そのくらいでしょう。
それよりも、
「歴史上の人物の字が原文で読めた!」
「教科書に載ってない歴史の情報を自分で読み解けた!」
と喜びを感じる人には向いている趣味かもです。
それでも古文書が読みたい
(おまけ)多少の役に立つかもな場面
余談ですが、私が古文書を読みたいと思うきっかけは、ヤマザキマザック美術館の特別展「名古屋城から始まる植物物語」の古文書を見てからです。
古文書を解読できるようになれば、解説+現物の文章を読んでより展示物の鑑賞を楽しめると思ったからです。
さらに余談ですが、TV 東京系列で放映している『開運!お宝鑑定団』が子供の時から特に好きなTV 番組です。
鑑定依頼者の持ってくるお宝に
「いやあ、そいつはニセモノだあ」なんてツッコみながら見る番組なのですが、
結構有名な歴史上の人物の書とかも番組によく登場します。
そんな時に、古文書を解読するスキルがあれば
「いやあ、そいつはニセモノだあ」のレベルが一段上がることが期待できます。
まとめ
古文書をはじめるためのハードルの高さがよくわかる本でした。
歴史はつながっているので、何かと自分の生活との接点を感じられると思いました。
筆者の苦労したエピソードなんかも面白く読めるので、読み物としても楽しむことができます!